元気な高齢者を官民で調査 遺伝?食?秘訣探る

 今年6月に、トヨタ自動車などとの共同研究の結果をまとめた。研究では、いくつかの点で認知機能が低下している人の運転技能を事前に検査。その上で約70人に危険や悪天候をプログラムしたシミュレーターや実車による運転訓練を約20時間にわたって実施した。結果は予想以上で、運転技能を計測すると訓練後は大きく向上していたという。

 研究に参加した男性(73)は、片道2時間半かけて釣りにも出かける行動派で運転免許はゴールドだ。しかし、70歳を超えたころから夜間や雨の日の運転しにくさを感じていた。

 訓練では、自分では危ないと感じても安全だったり、逆だったりした。「感覚のズレを調整でき、人からも運転がうまくなったといわれた」と実感を語る。

 島田氏は「運転することで生活圏が広がり、活動性が高まる。運転そのものが脳を活性化する可能性も考えられる」と指摘する。

 健康寿命を延ばす挑戦は、地方自治体でも始まっている。埼玉県では2012(平成24)年度から高齢者用の実証実験「健康長寿埼玉プロジェクト」をスタートさせた。ウオーキングと筋肉トレーニングで高齢者の健康寿命を延ばすという「ごく単純」な取り組みだ。発想の原点は医療・介護費の抑制。「高齢者に続けてもらえるか」(県健康長寿課)という不安もあった。

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