定年・年金見直しで高齢者の就労促進

白根壽晴氏 白根壽晴氏

 三上氏 これからは、22歳まで学び65歳まで働いて、引退して老後生活を送るという3段階の単線型のライフモデルから、仕事を一度辞めて学び直し別の仕事や自分がやりたいことに身を投じていくといった複線型に大きく変わっていくと思います。ただ、われわれ若い世代がこれから就職する企業には、それに応じた制度や仕組みがない場合が多いと感じています。

 70、75歳まで働けるようにすることは、労働力人口を維持する上で重要ですが、75歳でどんな仕事ができるのかという現実的な問題もあります。高齢者が能力を発揮できる職場や雇用環境をつくることは簡単ではありませんが、それを支える一つが、リカレント教育だと思っています。時代の変化に対応した労働力を育てるという意味でもリカレント教育は重要で、一過性のはやりで終わらせないようにしてほしいです。

技術革新で雇用増

 --AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術革新が働き方に及ぼす影響は

清家篤氏 清家篤氏

 清家氏 第4次産業革命といわれる技術革新は、雇用を奪う可能性もある一方で、労働力が減る日本ではウイン・ウインの関係になる可能性が高いと思います。ロボットなど介護分野の技術革新は、介護離職を防ぎ、現役世代の負担を軽減すると同時に、女性や高齢者の就労を促進することにもつながります。

 これまでも技術革新によって、人間がやっていた仕事が機械に置き換えられてきました。しかし生産性の向上を通じてモノやサービスの需要が増えた結果、雇用も増えました。大事なのは、今の時代に人間にしかできない仕事が何なのかということです。例えば「創造力」と「想像力」を使う仕事や「匠の仕事」です。マニュアル化できない、かゆいところに手が届くようなサービスも機械には置き換えることはできません。

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