【100歳時代プロジェクト パートナー企業分科会】「健康寿命」を歩いて延ばす 給付金で認知症予防をサポート 太陽生命保険

 口コミで健康情報

 --一人でも多くの人に認知症などの予防に取り組んでもらうには

 島田氏 認知症は潜在的な対象者が非常に多いことが問題で、公的な取り組みだけで予防を促すことは難しい。官民が一緒に取り組むことが重要だし、必要性を周知するマスメディアの力もなくてはならない。一致団結することが多くの人を動かす力になります。地域の30%以上に知ってもらえばその後は加速度的に拡散していくというモデルがあります。まずは、運動など健康増進の取り組みが良いことを30%を超える人に伝え、自分事としてとらえてもらう。地道な取り組みを繰り返すことで、住民の意識を醸成することが必要だと感じています。

 久野氏 私たちの調査では、健康情報にあまりアクセスしない「無関心層」が7割に上りました。この7割を崩さない限り、民間の良いサービスがあっても参加する人は増えません。まずは情報が届く仕組みを社会の中に作ることが必要です。情報を伝えるには、産学官が連携した口コミモデルしかない。私たちは健康情報を伝える「健幸アンバサダー」という地域のインフルエンサー(発信力をもつ人)を育成するプロジェクトに力を入れています。無関心層に聞いてもらうには一定の信頼関係が必要です。そうした意味で、信頼関係を持っておられる保険会社の方が健康情報について直接話してもらうことは非常に有効ですので、戦略的に無関心層の掘り起こしに取り組んでいただけるとありがたい。

 横山氏 地域に密着する保険会社、営業職員が果たす役割は大きいとの指摘をいただき、責任の重さを痛感しています。太陽生命は営業職員が家庭を訪問して販売することがビジネスモデルとなっていますので、健康情報をしっかり伝えることができればと思っています。認知症で困る人をなくしたい。そんな思いを持って、健康寿命の延伸に役に立てるサービスや商品をこれからも追求していきます。

 ■フレイル 加齢とともに運動機能や認知機能が低下し、心身が弱っていく状態。フレイルを経て要介護状態へ進んでいくが、適切に介入することにより生活機能の維持や向上が可能とされている。

 ■筑波大大学院人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻教授 久野譜也氏 くの・しんや

 筑波大大学院博士課程医学研究科修了後、米ペンシルベニア大留学などを経て、平成23年から筑波大大学院人間総合科学研究科教授。筑波大の研究成果に基づき健康増進事業を行う、つくばウエルネスリサーチ社長も兼務。

 ■太陽生命保険 取締役専務執行役員 横山輝紀氏 よこやま・てるのり

 昭和52年4月、太陽生命保険に入社。企画部長、営業本部長などを経て、平成26年から取締役専務執行役員。

 ■国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部長 島田裕之氏 しまだ・ひろゆき

 理学療法士を経て、平成15年、北里大大学院(博士課程)修了。東京都老人総合研究所研究員などを経て、22年に国立長寿医療研究センター自立支援システム開発室室長。26年から同センター予防老年学研究部長。

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