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◆50年後の日本
ヤマタノオロチ伝説の残る島根県雲南市。山陰と山陽を結ぶ国道沿いに鍋山と呼ばれる地区がある。
鍋山で、65歳以上の高齢者が全住民数に占める割合を示す「高齢化率」は38・89%(2016年10月現在)。約50年後の日本とほぼ同じ値だ。
人口が減るなか、地域の中心となるのは60代、70代の“若手”。その若手が市水道の検針業務を行っている。
きっかけは6年前、2011(平成23)年のことだった。「鍋山を回るのが、だいぶ大儀(だいぎ)(大変)になってきた」
鍋山の住民でつくる「地域自主組織」に、検針を請け負う民間事業者から“弱音”が持ち込まれた。標高が高く、家々は山林の間に点在。無理もなかった。
ちょうど、震災や大雨などの自然災害に備え、高齢者宅を見守るための連絡網を作った時期だった。
「連絡網があっても、ふだんから年寄りさんとツーカーでないと、いざというときに『助けてほしい』とはならん。検針を請け負って、ついでに『まめなかね(元気かね)』と声をかけて歩いてはどうじゃろうか」
地域自主組織の会長、秦美幸(よしゆき)さん(75)のアイデアはとんとん拍子にまとまり、翌年には「まめなか君の水道検針」をスタートした。