【100歳時代プロジェクト・ライフプランシンポジウム】「生涯現役」で豊かな人生
--国や企業も働き方改革に取り組んでいる
清家氏 家事や育児と両立できる柔軟な働き方が増えれば増えるほど、女性や高齢者が能力を発揮できるようになる。女性の能力をもっと活用しなければ社会は成り立たない。父親も家事や育児で家庭の一員として活躍しないといけない。自治体も手厚い行政サービスを提供できなくなってくるので、地域でお互いに助け合う必要がある。職場ですべての時間を使い切るのではなく、家庭や社会を支える「一人複役社会」が必要になる。
--100歳時代に必要なマネープランは
清家氏 年を取ると認知能力が低下し資産運用も難しくなる。ひとつの解決策はそうなる前に、年金保険に加入したり、投資信託を購入しておくなど、金融収益が得られるような時前契約をしておくこと。また金融機関の人が認知能力について研修を受けるなど、高齢の投資家にもその状態に応じて営業活動できる仕組みも必要になる。このようにして資産の運用寿命を延ばすことも大切だ。
國松氏 -001400資産運用とともに、000000生涯現役がマネープランでも重要。働くことで収入を確保するとともに、地域に役立つことをすれば、地域も豊かになる。一人一人がアクティブシニアになることで、地域に貢献することを通じて、生きがいを作ることにもなる。
三上氏 資産運用で気をつけなければならないのは、リスクとリターンの関係。大きなリターンを得ようと思えば、大きなリスクを背負うことになる。どのくらいのリターンを求めるのか見定め、リスクの取り方は正しいのか判断することが大事だと思う。
菊間氏 日本人は、お金の話をするのははしたないという文化で育ってきた。私自身、両親と相続の話をしたこともないし、夫と老後のお金のことを具体的に話し合ったこともない。もっと家族で話し合わないといけないと思う。
--100歳時代に求められることは
清家氏 ヘルスケアによって健康寿命を延ばし、それが職業寿命や資産寿命を延ばすことにつながる。豊かな長寿社会を将来世代に伝えるためにも、生涯現役社会を実現することが大切だ。
せいけ・あつし 昭和29年生まれ。53年、慶應義塾大学経済学部卒。博士(商学)。平成21年、慶應義塾長、30年4月から日本私立学校振興・共済事業団理事長。社会保障制度改革推進会議議長、内閣府経済社会総合研究所名誉所長などを兼務。
みかみ・よういちろう 平成10年生まれ。兵庫県出身。デジタルマーケティングを手掛けるGNEX代表で、慶應義塾大学総合政策学部3年。内閣府の「人生100年時代構想会議」の有識者委員を務めた。
きくま・ゆきの 昭和47年生まれ。平成7年に早稲田大学卒業後、フジテレビ入社。アナウンサーとして活躍し、19年退社。22年に司法試験に合格し、松尾綜合法律事務所所属。弁護士としての活動のほか、講演活動も多数。