【100歳時代プロジェクト・ライフプランシンポジウム】「生涯現役」で豊かな人生
誰もが100歳まで生きることが当たり前となる時代に備え、産経新聞社が立ち上げた「100歳時代プロジェクト」は、シンポジウム「100歳時代大学~100年生き抜く知恵と心構え~」(協賛・野村証券)を3月5日に東京都千代田区の大手町サンケイプラザで開いた。有識者による100歳時代プロジェクト会議ライフプラン委員会の委員を務める元滋賀県知事で健康・福祉総研理事長の國松善次氏が、自ら提唱する老いについて学ぶ「100歳大学」について講演。野村証券よる資産運用に関する講演も行った。また、前慶應義塾長で日本私立学校振興・共済事業団理事長の清家篤氏、GNEX代表の三上洋一郎氏の同委員2人と、元フジテレビアナウンサーで弁護士の菊間千乃さんが加わり、生涯現役社会の実現をテーマとしたパネルディスカッションを実施。100歳時代に求められるライフプランを探った。
--100歳時代の課題は
清家氏 一番大きな問題は働き手が減ること。国の生産力が低下し、消費力も低下する。国の経済成長が供給面と需要面の両方で制約される。社会保障制度の持続可能性も低下してしまう。働く意思と能力のある人には年齢に関わりなく働き続けられるようにするとともに、子育てや介護をしながら働ける環境を整える必要がある。
國松氏 社会を支える仕組みが劣化していくので、そうした時代にきちんと生きていける、楽しく生きていけるライフスタイルを確立することが大切だ。
三上氏 これからの日本の社会保障の負担を背負う覚悟を持った若者はたくさんいる。本当の意味で長寿を喜べるようにしていこうという覚悟だ。一方で、これからの日本が今後どうなっていくのかという不安はある。
菊間氏 祖母は105歳で元気。長く生きることはすばらしいことだと思っている。健康であることが一番大事で、健康なら考え方も後ろ向きにならないし、働くこともできる。
--課題解決のために必要なことは
清家氏 大事なのは職業寿命を延ばすこと。高齢者が増えてくると、年金、医療、介護の費用がかさみ、若い世代の負担が重くなってしまう。65歳で引退した場合、平均余命は男性が20年、女性が24年ある。20代前半から約40年間働いて、20年以上の引退期間というのは個人としても社会としてもバランスが取れていない。できるだけ70歳まで働けるようにすべきだ。日本は働き続けたいと考える高齢者が多い。
國松氏 今までの働き方は制度疲労を起こしており、働き方の概念を変えないといけない。時間や年数に縛られず、その人の特性に合ったスタイルで働けるようにする。企業も労働力不足で困っている。双方が知恵を出せばいろいろな働き方があるはずだ。
三上氏 IT業界では技術革新、情報のアップデートのスピードが速く、最先端のエンジニアは35歳で現場を離脱するケースなどもある。そこからはエンジニアの管理職となる場合が多いが、その後にまた現場に戻って若手のマネジメントをするなど得意領域と不得意領域のすみわけを明確にすれば働き続けられる。
菊間氏 女性が働く場合、子育てと介護でキャリアを2回中断しないといけないこともある。中断後に学び直し昔やっていたものを延ばしていく働き方もあるが、必ずしも今までやってきたことを続ける必要はないと思う。100歳時代には、新しく始めるのに時間が遅いということはない。違う分野で興味のあることを始めればいい。