【100歳時代プロジェクト】元文相・有馬朗人氏に聞く健康の秘訣「120まで生きねば」

元文相・有馬朗人氏(酒巻俊介撮影) 元文相・有馬朗人氏(酒巻俊介撮影)

 元文相、元東大総長の有馬朗人氏は、88歳の現在も日程がぎっしり詰まっている。今年も年間を通じ、月、木、金曜日は学園長を務める武蔵学園(東京都練馬区)に、火、水曜日は東京から新幹線で、理事長である静岡文化芸術大(浜松市)に通う。週末は講演活動や俳人として句会に参加し、昼間に在宅していることはほぼない。「120歳まで生きなければならない理由がある」と明るく語る有馬氏に、健康の秘訣(ひけつ)を聞いた。(山本雅人)

                   

 ◆2050年を見届ける

 有馬氏が120歳になるのはちょうど2050年。その年には世界の人口は約90億人に達していると予想され、食料や水の確保の問題のほか、地球温暖化がどこまで進んでいるかも気がかりだ。「これらの問題に人類がどう対処し、克服していくのか、科学者としてぜひ見届けたい」という。

 もっと個人的な理由もある。

 有馬氏は理論物理学者として、米エール大のヤケロ博士との共同研究として、原子核の集団運動の規則性に関するモデルを発表した実績を持つ。易しく体系的に説明できる理論として各国の論文に1千回以上引用され、影響力の高さから、1990年代の約10年間、ノーベル物理学賞の有力候補とみられた。「だがノーベル賞を取れておらず、その意味では学者として失敗の人生」と言う。

 思い当たることがある。

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