【100歳時代プロジェクト】イヨカン果汁で認知機能改善 愛媛大研究

 その結果、頸動脈を塞がなかった健常マウスの移動パターンを、認知機能が正常(標準)の「100」とした場合、水だけを飲んだマウスは、正常な動きの率が健常マウスと比較して78%(残りの22%が認知機能低下に該当する、習性とは異なる動き)だったのに対し、温州ミカンは87%、イヨカンは93%-と、脳梗塞の状態にありながらイヨカンはわずか7%の認知機能低下に抑えられた。

 「温州ミカンでも認知機能低下の抑制効果はあったが、イヨカンで効果がさらに高いのは、イヨカンに特異的に含まれる成分によるものではないかと考えた」という川上さんは、ミカンの約20倍もの含有量のあるポリフェノールの一種「ヘスペリジン」に着目。

 そこで33匹の脳梗塞マウスを2群に分け、それぞれヘスペリジンの溶液と無成分の液体を摂取させ、健常マウスと比較した。無成分の群は正常な動きが87%だったのに対し、ヘスペリジン摂取の群は97%。他にも、ヘスペリジン摂取群は脳の神経細胞死の抑制や脳内の酸化ストレスの軽減などが認められたという。

 ただ、イヨカン果汁でみられた脳の血流改善効果は、ヘスペリジンでは認められなかった。指導した同大大学院の堀内正嗣教授は「イヨカンには、ヘスペリジンにはない血流改善を促す何らかの成分も含まれていると考えられる」とし、「ヘスペリジンをサプリなどで単独摂取するのもいいが、さまざまな成分を含むイヨカンやミカンの摂取を勧めたい」と話す。

◆国際的に反響

 今回の研究で使われた10%の果汁は、人間が1日に摂取する水分を2リットルとした場合、200ミリリットルの100%ジュースを飲むことと同じことになる。

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