「深呼吸し過ぎない」「腹式より胸式呼吸」“いい呼吸”で10歳若返り?

 ■第一人者・本間生夫氏、常識覆す指摘続々

 「意識的な深呼吸は何回もし過ぎない方がいい」「腹式呼吸よりも胸式呼吸の方が大事」…。呼吸研究の第一人者、本間生夫(いくお)・東京有明医療大学長(呼吸神経生理学)のこれまでの世間的な常識を覆す指摘が、「いい呼吸」へ関心を集めている。長寿時代の健康維持には、生命活動の基本である呼吸をよりよくすることが重要だ。ではどうしたらいいのか。アドバイスをもらった。(山本雅人)

                   

 「食事よりも大事」

 健康といえば食事や運動に目が向きがちだが「ある意味、呼吸は食事よりも大事」と本間学長は語る。

 ヒトは呼吸により空気中の酸素を取り込み、摂取した栄養素と結びつくことでエネルギーを生み出す。悪い呼吸であればその効率がダウンし、体に負担がかかる。しかもその数は1日に2万回、年間730万回に上る。「いい呼吸かそうでないかで健康に大きな差が出る」と強調する。

 世間的に奨励されている深呼吸も、何回も続けて行うのはよくないと指摘する。ふだんの無意識の呼吸は脳幹、意識して行う深呼吸は大脳皮質と「脳の中で担当する部位が違う」としたうえで「大脳皮質を介する意識的な深呼吸は、体内の酸とアルカリのバランス調節機能が作動しなくなる」からだという。二酸化炭素量が一定に保たれることで機能が作動していて、「酸性に傾くと酵素の働きが悪くなるなどの影響もあるので、深呼吸は2~3回にとどめた方がいい」。

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