【100歳時代プロジェクト】「生きやすさ」福井が1位 人とのつながりには課題も 人間の安全保障指数

 平均寿命や雇用、地域連携など約90の指数から分析した「誰もが生きやすい社会」にもっとも近い都道府県は福井県、もっとも課題が大きいのは青森県-。そんな調査結果が、東京大大学院の教員、学生有志らが立ち上げたNPO法人「人間の安全保障」フォーラムのプロジェクトチームの調べで分かった。人生100歳時代に充実した生活を送るには、子供の貧困や性差別、高齢者の孤立などの課題を解消していく必要がある。(道丸摩耶)

 プロジェクトチームの高須幸雄代表(元国連大使)によると、プロジェクトは公的機関の統計データを用いて、平均寿命や健康寿命などから「命指数」を、所得や進学率などから「生活指数」を、いじめ件数や情報公開度などから「尊厳指数」を作成。「命指数」は愛知県▽滋賀県▽東京都、「生活指数」は福井県▽富山県▽長野県、「尊厳指数」は東京都▽奈良県▽島根県の順で高かった。

 さらに公的データからわかりにくい個人の主観的な評価を調べるため独自にアンケートを行い、人生や生活に満足しているかどうかなどの「自己充足度」や孤独感や困ったときに相談する相手がいるかどうかなどの「連携性の実態」を調べた。これらの指数を総合的に分析し、誰もが生きやすい社会を目指す「人間の安全保障指数」を算出。指数が高かったのは、福井▽富山▽長野▽東京▽石川で、低かったのは青森▽沖縄▽宮城▽北海道▽大阪-だった。

 ただ、総合的な順位が高かったからといって、課題がないわけではない。

 高須氏は「福井県は統計データからは住みやすいと出たが、アンケートでは『孤独でつらい』『困ったときに相談する人が誰もいない』などと回答する割合が高く、連携性に課題が見えた」と話す。

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