【100歳時代プロジェクト】「笑い」の力で人生明るく 落語家・三遊亭白鳥さん

 心と体をリフレッシュさせ免疫力も高めるとして、「笑い」の力が注目されている。落語や漫才などの「お笑い」が、がん患者に良い影響を与えたとの実証研究もある。人生100歳時代を笑いながら楽しく過ごすために、「落語の仮面」などの新作落語を発表して客席を沸かせる落語家の三遊亭白鳥さん(56)に、落語の魅力を聞いた。(道丸摩耶)

「落語は認知症予防にいい」と話す三遊亭白鳥さん =東京都豊島区(三尾郁恵撮影) 「落語は認知症予防にいい」と話す三遊亭白鳥さん =東京都豊島区(三尾郁恵撮影)

 落語とは無縁の家に生まれた白鳥さんだが、昭和62年に三遊亭円丈師匠に入門した。「雪国で育った落語を知らない少年がなぜこの世界に飛び込んだのか自分でも不思議でしようがない。高座に出ても『誰だ、おまえ』といわれる長い暗黒時代があった」と振り返る。

 平成13年に真打ちに昇進し、伝統的な古典落語ではなく新作を多く発表してきた。「昔は新作落語はアングラだったが、今は落語のファン層も広くなり、女性落語家も増えた。女性落語家がやるなら女性が主人公の新作がいいし、そもそも古典落語だって元は誰かが作ったもの」と新作への思いを話す。

 誰もが受ける新作

 作品を作る際には「分からないことを分かりやすく伝えること」にこだわる。「江戸」の風景を舞台に語られることが多い古典落語に比べ、白鳥さんの新作落語は客の来ない居酒屋や動物園など、観客が想像しやすい現代を舞台にすることが多い。交通安全や投票啓発など、自治体などの依頼で作品を作ることもある。

 ネタを思いつくと、スマートフォンのメモ帳に書きためる。大人気漫画「ガラスの仮面」をモチーフにした「落語の仮面」は女性落語家の成長を描く10話まである大作で、CD化もされた。「新作を作るだけなら誰でもできるが、誰がやっても受ける落語にするのは大変な作業。くじけずに何度もブラッシュアップしていくのは果てしない作業だ」と明かす。

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