【100歳時代プロジェクト】100年先へ 統合型リゾートで経済・地域に貢献 シーザーズ・エンターテインメントの取り組み

ジャン・ジョーンズ・ブラックハースト副社長に聞く

 観光立国の目玉として統合型リゾート(IR)に注目が集まる中、世界各地でIR事業を展開するシーザーズ・エンターテインメント(米ネバダ州)は、日本に根ざした事業展開を目指している。日本支社のシーザーズ・エンターテインメント・ジャパン(東京都港区)は「100年パートナー for JAPAN」を掲げ、経済や地域社会の発展に貢献し、100年先を見据えたパートナーシップを構築したい考えだ。同社は、誰もが100歳まで生きることが当たり前となる時代に備え、日本が直面する超高齢化社会における課題解決に向け、産経新聞社が立ち上げた「100歳時代プロジェクト」にもパートナー企業として参画した。プロジェクトではIRを通じて持続可能な街づくりに取り組む同社を取材し、2回にわたり紹介する。

長期的視野と女性活用など成功の鍵

シーザーズエンターテイメントのジャン・ジョーンズ氏=7日、東京都港区(佐藤徳昭撮影) シーザーズエンターテイメントのジャン・ジョーンズ氏=7日、東京都港区(佐藤徳昭撮影)

 --現在、日本人の平均寿命は男性81・09歳、女性87・26歳で、誰もが100歳まで生きることが当たり前になる時代がやってくるといわれている。シーザーズ・エンターテインメントの日本支社が掲げる「100年パートナー for JAPAN」も、100歳時代を意識しているのか

 「持続可能なコミュニティー(地域社会)は、事業を行う企業、政府、自治体、NGOといった団体がビジョンを共有することで形成されます。そしてそのビジョンは少なくとも、100年という単位で考える必要がある。その視点から、IRを通じた日本との永続的な関係づくりを表す言葉が100年パートナーです。ラスベガス市長を務めていたときも、私は今現在のことだけでなく未来にどのような展望を持って市をつくるか、そのビジョンが重要と考えていました。当時のラスベガスは、リゾートとしてのデスティネーション(目的地)を目指し急拡大していた時期で、来訪客は1500万人から3500万人にはね上がりました。観光の拡大は経済界に潤いをもたらしましたが、地域社会にとってはそれだけでは成功といえません。街に住む人々の持続可能な暮らしと生活の質の向上についても十分に考えないといけないのです」

 --特に注力したことは何か

 「シニア世代への対策です。孤立していて、きちんとした家に住めない、十分な食べ物も確保できない人も多かったからです。そういう人にこそサービスやものを提供すべきだと思いました。それは、20年前にシーザーズに来てからも変わりません。残念ながら、経済界や慈善団体においてさえも、シニア世代は非常に多くの場合、忘れ去られた存在になってしまう。そこで、慈善事業への寄付の多くをシニア世代にも注ぐべきだと思いました。市長だったときからシニア世代向けにさまざまなプログラムを展開していたので、それらと連動させようと思ったのです」

 --地域からの反応は

 「地域社会が何を必要としているか時間をかけて需要を割り出したことで、好意的な反応が得られたと思います。政策を作っても、政府がすべてをやるのは難しい。私たちは民間企業だからこそできる部分を担う。そういう関係が築けていることが大事です。長期的視野にたった目標を持って皆が手を携えていかないと、成功に導くことは難しいと思います」

 --シーザーズは、ダイバーシティ、平等、インクルージョンを重視する「最も働きやすい職場」としてラスベガスの地元経済誌などからも高く評価されており、地域社会での女性の活躍を推進している

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