【100歳時代プロジェクト】真の実力つけ有意義な人生を 企業価値評価の専門家提言

野口真人(まひと)プルータス・コンサルティング社長(京都大経営大学院特命教授) 野口真人(まひと)プルータス・コンサルティング社長(京都大経営大学院特命教授)

 野口氏は、人事や上司の目を気にすることなく、「自分の持ち場で『何をすれば組織の価値を高められるか』に集中して仕事をすることが重要だ」と強調する。

 一方、仕事をリタイアしたシニア世代はどうか。

 野口氏は「利益を生み出す力」の「利益」を「価値」に置き換えると分かりやすいという。

 具体的には「ボランティアなどの社会貢献も立派な価値創造だ」という。野口氏は「自分が豊かな日本に暮らせるのも先人の努力や投資があってこそ」としたうえで、自分たちも社会をより豊かにして次世代に渡すのが務めだという。

 自分という資産

 野口氏自身、若いころに外資系金融機関などで寝る間もなく働き、高給を得て40代前半で早期退職した。その後、不動産収入で暮らす予定だったが、退職から半年後に現在の会社を興して“社会復帰”した。

 「(退職後)自分という資産を全く生かしていなかったことに気づくととともに、このような人ばかりになっては日本は立ち行かなくなると考え直した」と振り返る。

 そして現在、若者が立ち上げたベンチャー企業に対して、活躍の場を求める高齢者をマッチングさせる取り組みも行う。

 リーマン・ショックや今回のコロナ禍でも分かるように、不動産や金融資産は社会・経済情勢によって、その価値が暴落したり、なくなったりすることもある。だが、“自分”という資産は逃げたり、なくなったりはしない。野口氏は「自分の価値を高め、有意義な人生を送ってほしい」と語る。

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