【100歳時代プロジェクト】真の実力つけ有意義な人生を 企業価値評価の専門家提言

野口真人(まひと)プルータス・コンサルティング社長(京都大経営大学院特命教授) 野口真人(まひと)プルータス・コンサルティング社長(京都大経営大学院特命教授)

 多くの人が100歳まで生きられるようになりつつあるなか、「終身雇用で定年後は悠々自適な生活」という考え方は当てはまらなくなってきている。そんな新しい時代に対応するには、「特定の組織内だけで評価される能力ではなく、どこでも通用する真の実力をつけることが重要」と語るのは、京都大経営管理大学院特命教授で日本最大規模の企業価値評価会社であるプルータス・コンサルティング(東京都千代田区)の社長を務める野口真人氏だ。(山本雅人)

 持ち場で努力

 「人の価値も、企業価値と同様の公式で評価できる」。

 一見、人格を無視したような言い方にも聞こえるが、これまで5千社以上の価値評価を行ってきた野口氏は、こう言い切る。

 M&A(企業の合併・買収)の際などに、よく耳にする“企業価値”は、その企業の総資産や時価総額などが指標になるが、(1)資産がどれだけ有効に活用されているか(2)株価が割高なのか割安なのか-なども判断しなければならない。それには、その企業のブランド力や抱える人的資産を厳密に評価する必要がある。

 野口氏はそれらを算出する公式に使う「利益を生み出す力」を使うことで、人の価値(金額)も算定できるという。数学的な公式を人間に当てはめることに違和感を持つ人もいるかもしれないが、「社内政治での力学や肩書が影響しない点で、評価指標として最も透明で公正だ」と語る。

 では、「利益を生み出す力」とは何か。象徴的なのは営業部門だが、野口氏は「目先のノルマを達成するために強引な営業をするのではなく、中・長期的な視点でクライアントと信頼関係を築く方が真の利益になる」と語り、そういった視点で努力を続ける人は高齢期にも需要があるという。

 また、総務やシステムといった直接利益を生み出さない部門でも「『どうすれば業務を効率化できるか』を考え続けることが重要で、それがコスト削減を通じて会社の利益につながり、自分の成長にもなる」という。

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