【100歳時代プロジェクト】第一人者が語る“ウィズコロナ時代”の認知症予防とは

認知症予防プログラム「本山式筋トレ」を体験する参加者=千葉県成田市 認知症予防プログラム「本山式筋トレ」を体験する参加者=千葉県成田市

 新型コロナウイルスの影響で、高齢者の運動や社会活動の機会が減ることにより認知症のリスクが高まると懸念されるなか、千葉県成田市は、市民に運動や脳トレなどの認知症予防プログラムを提供する介護予防教室「人生カッコよくプロジェクト」を立ち上げた。認知症予防の第一人者で、産経新聞社が取り組んでいる「100歳時代プロジェクト」の有識者委員でもある東京医科歯科大学の朝田隆客員教授が監修した。朝田氏は「将来的に認知症患者が急増するパンデミックの恐れがある」と、警鐘を鳴らしている。

 「認知症の予備軍であるMCI(軽度認知障害)の段階で予防に取り組めば、認知機能が改善すると分かっている。予防のいち押しは運動。認知トレーニングや社会的な活動も効果がある」

 朝田氏はプロジェクト初日の9月18日に成田市役所で開かれた参加者を対象とする講演会で、認知症予防の大切さを強調した。

 その上で、「社会的な動物である人間の認知機能を維持するには、社会交流が重要となる。また、予防の取り組みは人と人が交流する通いの場で行われてきた。ところが、コロナ感染防止のため、“3密”を回避しなければならず、これまでの集合型の予防活動は困難になっている」と指摘。「コロナの影響で認知症患者の67%で認知機能が低下したという報告もある。不要不急を理由に予防活動を控えることで、予備軍から認知症へ進むリスクが高まる」と、将来的な認知症患者の急増に懸念を示した。

 朝田氏は“ウィズコロナ時代”の認知症予防について、「感染防止対策を行いながらの集合型と、テレビやインターネットなどITを活用した個別の自主トレーニングを組み合わせたハイブリッド型が求められる」と語った。

 成田市の同プロジェクトもコロナ感染防止と両立させながら実施する。参加者は63人。実施するプログラムは、総合能力研究所の本山輝幸所長が考案した脳機能を刺激する「本山式筋トレ」や、ニッセイ情報テクノロジーが朝田氏の監修で開発したタブレット端末でクイズ形式の設問に答え、記憶力や注意力のトレーニングができる「暮らしの脳トレ」など。

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