【100歳時代プロジェクト】暑い夏に水出し緑茶 糖尿病、認知症予防に効果

 新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念が高まり、外出しにくい状況が続いている。このため、特に中高年層では運動不足やストレスから糖尿病など生活習慣病の発症リスクが高まっている。そんななか、緑茶を1日2杯以上飲む人は、糖尿病発症リスクが低いことが最近の研究で分かってきた。水出しすればさらに、うま味も高まるとされ、厳しい残暑が続くなか、取り入れやすい健康習慣といえそうだ。(池田美緒)

代謝物に着目

 緑茶の飲用習慣と糖尿病発症リスクとの関連を調べたのは、九州大の二宮利治教授(衛生・公衆衛生学)。信頼度が高いことで国際的にも有名な疫学調査「久山町研究」の研究代表を務める。

 調査では、同町の40~79歳の健康な男女2253人を対象に、緑茶に含まれるうま味成分「テアニン」を取ると、体内で分解されて生まれる「エチルアミン」の血中濃度に着目した。

 というのも、テアニンは摂取後すぐに分解されてしまうが、エチルアミンは24時間後も血中に残る。こうした特性から緑茶を飲めば飲むほど、その血中濃度も高まるため、飲用頻度を容易に推定できる。従来の研究はアンケートに基づくものが多く、データの精度に課題があったなか、この調査は飲用頻度を初めて客観的に裏付けたといえる。

 二宮氏によると、対象者を平成19年から7年間、追跡調査した結果、緑茶を1日2~3杯以上飲む人は、1杯未満の人に比べて糖尿病発症リスクが約30%少ないことが分かった。さらに肥満者では約60%、“糖尿病予備軍”ともいわれる境界型糖尿病では約40%も低かった。

 これまでの同研究で、糖尿病患者のがん死亡率が健常者の約2倍になることや、糖尿病罹患(りかん)歴の長い人ほど認知症になりやすいことも分かっている。このため、二宮氏は「糖尿病予防は、がんや認知症予防にもつながる。緑茶のうま味を感じながら、バランスの良い食事をとることが大切」としている。

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