【100歳時代プロジェクト】注目、バクテリアセラピー 善玉菌摂取し口腔ケア

 ロイテリンという抗菌物質を生み出し悪玉菌を抑え、相対的に善玉菌を増やす作用を持つ。ロイテリ菌の摂取により虫歯菌が減少したとの報告のほか、「歯科での専門的なケアとロイテリ菌摂取を組み合わせることで歯周病菌が大幅に減少し、歯周病の症状が大きく改善したとのデータがある」という。

 摂取の方法として、トローチタイプのサプリメントやヨーグルトなどがあり、ポイントは「善玉菌とはいっても、口の中が汚れていては増やすことができないので、摂取前に歯磨きやクリーニングをしっかり行うこと」と「定着しやすくするため、口の中でゆっくり時間をかけて摂取する」(若林院長)ことを挙げる。

 ◆歯周病菌が血管に

 歯と歯ぐきとの間に細菌がたまり炎症を起こす歯周病は、歯が失われるだけでなく、最近では心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などの動脈硬化性疾患の原因になると指摘されている。

 歯ぐきの炎症部分の破れた毛細血管から歯周病菌が入り込んで全身の血管を巡り、菌の刺激で動脈硬化を促進する物質が分泌されるからだ。歯周病がある場合、ない人に比べ脳梗塞のリスクが約3倍になるとされる。

 また、妊娠している女性が歯周病の場合、炎症物質が子宮の収縮に影響し、低体重児出産や早産のリスクが高まることが分かっている。このほか、糖尿病や骨粗鬆(こつそしょう)症との密接な関連も指摘されている。

 若林院長によると、口内には500~700種の常在菌が生息し、その多くは善玉でも悪玉でもない「日和見(ひよりみ)菌」。外界と接しているため、気温差はもちろん、飲食物の温度や硬さなど影響などにさらされ、腸内に比べると、菌にとっては過酷な環境だという。

 そんな中、「ロイテリ菌はヒト由来のため安全で、口内にも定着しやすい」とし、「口内環境についても、抗菌という考え方だけでなく、菌の共生によってバランスを取るという選択肢が広がっていけば」と話している。

この記事にアクションする