【100歳時代プロジェクト】注目、バクテリアセラピー 善玉菌摂取し口腔ケア

若林健史・オーラルケアクリニック青山院長 若林健史・オーラルケアクリニック青山院長

 歯周病を放置すると、歯や口の中だけなく、動脈硬化をはじめ全身にさまざまな悪影響を及ぼすことが最近の研究で分かってきた。100歳まで生きることが当たり前となりつつある中、健康寿命を全うするためには口腔(こうくう)ケアが重要となるが、通常のケアにプラスして、意図的に善玉菌を摂取して口内の健康を後押しするバクテリアセラピーの考え方が出てきている。どのようなものなのか、専門家に聞いた。(山本雅人)

                   

 バクテリアセラピーを推奨するのは、日本歯周病学会理事でオーラルケアクリニック青山の若林健史院長。

 口腔ケアといえば、正しい方法による歯磨きやクリニックでの定期的な歯石除去などが主だが、「悪玉菌を100%なくせるわけではなく、体調などでケアが十分にできなくなった場合、劇的に増えてしまう」と話す。このことから、最近、注目を集める腸内フローラ(細菌叢(そう))の考え方と同様、口腔ケアでも体を守る微生物を利用した健康維持を重視するようになったという。

 ◆昔は母乳に含まれ

 若林院長が行うバクテリアセラピーは、乳酸菌の一種、ラクトバチルス・ロイテリ菌を摂取するというもの。ロイテリ菌は古来、多くの人の母乳に含まれ、赤ちゃんの口の中や腸内に定着していた。だが、病気治療での抗生物質の服用や食品添加物の普及などによって次第に失われ、現在は7人に1人しか保有していないとされる。

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