【100歳時代プロジェクト】骨粗鬆症、骨折なくても「危険」 発症で死亡率2倍に

 なぜこれほど少ないのか。稲葉教授は、「がんや脳卒中、心臓病などの病気に比べ、骨粗鬆症は“放置しても骨折するだけで命の危険はない”と思って検診を受けない人が多い」とし、さらに「治療自体も、例えば血圧が下がるとか痛みが軽減するといった分かりやすい効果があるわけではないので、非常に多くの人が途中でやめてしまう」と嘆く。

 だが、「実際は骨折しなくても死亡率が上がることを知ってもらい、きちんと検診を受け、骨粗鬆症と診断されたらすぐに治療に入るべきだ」と強調する。

 治療は薬の服用が主体となるが、稲葉教授は「薬物療法で骨折が減り、死亡率も下がることがデータで証明されている。専門医と相談しながら進めてほしい」と話している。

                   

 ■筋肉増強でアイリシン分泌促進を

稲葉雅章・大阪市立大大学院教授(大阪市立大大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学教授) 稲葉雅章・大阪市立大大学院教授(大阪市立大大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学教授)

 骨粗鬆症の予防には、健全な生活習慣が重要となってくる。

 稲葉雅章教授は、日常の食事について「魚や乳製品などでカルシウムを多く摂取するとともに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれる干しシイタケなどを一緒に食べるのがよい」と話す。

 さらに最近の研究で、運動による筋肉の増強が骨の形成に重要だと分かってきたという。骨を取り巻く筋肉の力学的な刺激で骨が強くなるだけでなく、「筋肉増強で分泌が高まるアイリシンという物質が、骨を作る細胞に作用して骨の形成を促す」という。

 筋肉の増強に、歩数を増やすことや、ペットボトルに水を入れダンベル代わりにして運動することなどをすすめている。

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