【100歳時代プロジェクト】脳動脈瘤治療体験記 クモ膜下出血、画像診断で予防可能

 多くの人が100歳を迎えられる時代を健やかに過ごすには、脳卒中や心臓病など致命傷になりうる病気を未然に防ぎたい。そんな「100歳時代」に関する取材をしている記者自身の脳に、未破裂の動脈瘤(りゅう)が見つかった。早期発見と治療により、破裂の不安から解放された体験を踏まえ、最新の脳動脈瘤治療の実情を紹介する。(山本雅人)

 ◆脳ドックで発見

脳動脈瘤のコイル塞栓術 脳動脈瘤のコイル塞栓術

 記者は50歳を過ぎ、認知機能に関わる脳の萎縮などがないか調べようと、磁気共鳴画像装置(MRI)による脳ドックを受けた。萎縮はなかったが、代わりに発見されたのが動脈瘤だ。場所は顔面中央あたりの奥深く。大きさ6ミリだ。

 脳卒中のうち特にクモ膜下出血は、脳の血管にできたこぶ=動脈瘤が破裂するため生命の危険が大きい。

 検査の結果を受け、かかりつけ医から紹介されたのは脳の「血管内治療」の権威、東京医科歯科大大学院の根本繁教授だった。血管内治療は、カテーテルというやわらかな細い管を血管内に送り込み患部に到達させ、外から画像を見て治療を行う。根本教授によると「開頭手術に比べ体の負担が少なく、執刀医が脳に触れて起こる後遺症のリスクがない」という。

 脳動脈瘤は動脈が枝分かれする部分にできる風船のような膨らみだ。100人に1人程度見つかるとされるが、医学的には「結構多い数字で、だから脳ドックが存在するともいえる」。

 脳動脈瘤ができる原因として、「脳は体重の2%しか占めないのに、心臓が1回の拍動で送り出す血液の15%も流れ込むなど他の臓器より血管に負荷がかかる。それなのに脳の血管壁は薄い」ことを挙げる。薬で破裂を予防することはできないという。

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