【100歳時代プロジェクト】認知症患者の生活、質向上 アロマやマニキュアで楽しく

香りで機能改善

 視覚ではなく嗅覚を利用し、香りがもたらす沈静や覚醒の効果を介護の現場に生かす試みもある。

 フラワー&アロマセラピストの京ケ島弥生さんは数年前、高齢者施設で車いすの女性にアロマセラピーを施術した。認知症が進行し会話はできず表情もほとんどなかったが、柑橘(かんきつ)系の香りで手を温め腕をマッサージする約20分の施術を終えると「ありがとう」と言われた。

 「香りに加え手で触れること、語りかけることの相乗効果だと思う。年とともに衰える嗅覚の鍛錬にもなる」と京ケ島さん。血圧を上げたり、リラックスさせたりとアロマにはさまざまな効果があり、「特定の香りで昔の記憶が呼び覚まされた人もいる」という。

 アルツハイマー型認知症の患者に昼と夜で別の精油を使用して効果を調べた鳥取大医学部の浦上克哉教授らの研究でも、アロマによる認知機能の改善が認められており、医療とは違う取り組みが、認知症の症状改善や患者の生活向上に一役買っている。

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