健康づくりサポートしたい フィットネス産業協会・吉田正昭会長

 --フィットネスクラブで高齢者はどのような様子ですか

 「男性と女性で全然違います。男性は退職すると、近所に友達もいないし家族にも温かく迎えてもらえず居場所がなくなる(笑)。ジムに行くと同じ境遇の仲間がいます。ゴルフなどのサークルもあり、友達ができれば途中でやめることは少なくなるでしょう。逆に女性は自立されている方が多く、健康づくりの運動パターンを自分でお持ちの人が多いですね」

 --他に業界で取り組んでいることはありますか

 「スマートフォンのアプリで日常生活を管理する方法に乗り出したところもあります。運動、栄養、休養の3つを点数化し、例えば栄養なら『乳製品が足りない』などとアドバイスが出るんです。いくら運動を熱心に行っても、私生活がぼろぼろでは健康づくりに結びつきません。これからのフィットネスクラブは、会員の日常生活も意識していかないといけません」

 --運動に興味がない人に参加してもらうにはどうすればよいでしょうか

 「体験してもらうのが一番早いですね。高齢者が無料の日、フレッシュマンが無料の日と狙いを決めて働きかけるのもよいかもしれません。協会で仕掛けを考えたい。最近、健康づくりをすると保険料が安くなる『Vitality(バイタリティ)』という生命保険が出ました。保険料が安くなれば、フィットネスクラブの会費の一部をまかなえる。良い仕組みです。今後、業界全体が健康づくりの受け皿になっていくでしょう。協会としても業界を挙げて健康づくりをサポートしていきたい」

【プロフィル】吉田正昭

 よしだ・まさあき 昭和31年、大阪府生まれ。京都産業大学経済学部卒業後、54年にピープル(現・コナミスポーツ&ライフ)入社。同社執行役員専務事業開発本部長などを経て平成16年10月、スポーツクラブなどを運営するルネサンスに入社、23年4月から同社社長を務める。28年6月から社団法人日本フィットネス産業協会会長。

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