【認知症薬に挑む】(上)「進行抑える」効果の光が見えた 原因物質減少を治験で確認

 「脳内に蓄積されたアルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドベータ(Aβ)が減少し、症状の進行を抑える効果が確かめられた」

 7月25日、米シカゴで開かれていたアルツハイマー病協会国際会議。製薬大手のエーザイと米バイオジェンは、共同開発中のアルツハイマー型認知症治療薬「BAN2401」の臨床試験(治験)で良好な結果が得られたことを公表した。エーザイの株価は学会を前に連日急騰し、公表直前の25日に上場来高値を更新するなど期待の大きさをうかがわせた。

 エーザイの小川智雄日本・アジア臨床開発部長は「アルツハイマー型を引き起こすと考えられる毒性の高い因子を的確にターゲットとして捉えた結果だと考えている。多くの医療関係者から『勇気づけられる結果だ』という言葉をもらった。開発に弾みがつく」と力を込める。

 今回公表したのは、少数の患者に投与して安全性や有効性を確かめる第2段階の治験結果。プラセボ(偽薬)を投与した患者に比べ症状の進行が30%抑制された。エーザイは、規模を拡大して行う最終の第3段階の治験に入る準備を急ぐ考えだ。

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