【100歳時代プロジェクト】ネット活用「遠隔共食」 健康長寿阻む「孤食」解消へ

左から、東京電機大システムデザイン工学部の徳永弘子共同研究員、武川直樹教授、谷友香子・東京医科歯科大助教 左から、東京電機大システムデザイン工学部の徳永弘子共同研究員、武川直樹教授、谷友香子・東京医科歯科大助教

 期間は8週間で、最初の2週間は共食は行わず、残りの6週間について、最低でも週に1回遠隔共食をしてもらい、最初の2週間と最後の2週間とを比較、変化を記録してもらった。

 それによると、主観的な幸福感の変化の項目で、親の「体調」「気分」「存在意義」「あすへの意欲」がそれぞれ向上した。その際の映像を分析したところ、食事内容を毎回、見せ合う親子がいることも分かった。

 徳永研究員は食事の見せ合いについて、「このシステムでは、時間を決めていきなり画面でつながるため、話のきっかけとして食事内容から入るのだと思う」として、こうした話題をきっかけに食事内容を改善させる可能性があることを指摘する。今後は、親子間だけでなく、地域コミュニティーでの利用も視野に入れている。

 課題は事前に食事時間を決め、お互いがその時間に合わせなければいけない点だ。武川教授は、親子それぞれのプライバシーに配慮して、カメラではなくセンサーなどをキッチンに設置して、「相手がキッチンに入って食事を作り始めたのを感知し、『こちらもそろそろ…』と食卓につく時間が自然と一致する形にもっていければ」と話している。

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