【100歳時代プロジェクト】日本のMICE開催地 会場不足解消が課題

 国内では東京五輪・パラリンピックが近づき、大規模な展示会や国際会議などを開催できる施設の不足が深刻になっている。IRの推進はこうした展示場や会議場の不足の解消にも一役買うとみられる。

 最近、「MICE(マイス)」という言葉が注目を集めている。企業ミーティング(Meeting)、企業の報奨・招待旅行(Incentive Tour)、学会などの国際会議(Convention)、展示会や見本市(Exhibition、Event)の頭文字を取ったものだ。観光庁の調査では、外国人のMICE参加者1人当たりの消費総額は一般的な観光客の約2倍に上っており、経済効果も高い。だが、外国人が「主な来訪目的」として挙げた項目で「観光・レジャー」が全体の8割近くを占めているのに対し、MICEでは「企業ミーティング」3・7%▽「企業の報奨・招待旅行」0・4%▽「国際会議」1・3%▽「展示会・見本市」1%-にとどまっており、ビジネス客を取り込めていない。

シーザーズ・エンターテインメントの会議施設「シーザーズ・フォーラム」内に設けられる世界最大の「ピラーレス・ボールルーム(無柱大宴会場)」の完成予想図。柱がないためニーズに合わせて柔軟にレイアウトが変更できる シーザーズ・エンターテインメントの会議施設「シーザーズ・フォーラム」内に設けられる世界最大の「ピラーレス・ボールルーム(無柱大宴会場)」の完成予想図。柱がないためニーズに合わせて柔軟にレイアウトが変更できる

 日本展示会協会がまとめた世界の展示会場面積ランキング(3月末現在)では、日本最大の展示場「東京ビッグサイト」の広さは世界78位。幕張メッセは112位、インテックス大阪は115位だ。夜間も営業する飲食店やホテル、ショッピングセンターといった周辺施設も不十分だ。

 シーザーズ・エンターテインメントは、カーペット敷きの施設における純面積でIR業界最大のMICE施設運営者だ。同社のMICE部門を統括する最高営業責任者(CSO)のマイク・マッサーリ氏は「日本は治安も良く文化や自然、交通の利便性など、観光業を取り巻く日本のインフラは非常に進んでいる。今後、IR施設ができることでMICE誘致が促進され、MICE開催地としての日本の魅力はより強力なものになり得る」と指摘する。

 同社は米アトランティックシティーに2015年、約138億円を投資して米国北東地域最大規模のMICE施設を開業するなど、豊富な開発・運営実績を誇る。2020年にはラスベガスで5万1000平方メートルの会議スペースを有する「シーザーズ・フォーラム」という世界最大規模の大型会議施設を開業予定。「同施設に設けた2つのボールルームは、サッカー場5つ分以上に相当する世界最大の無柱大宴会場で、柱をなくし、仕切りを使うことで広いスペースをさまざまなレイアウトに変更できる」(マッサーリ氏)のが特徴で、MICEの設計から運営までを一貫して担うことで客の幅広いニーズに柔軟に対応できる。さらに「ホテル、劇場、ショッピングモール、ゲーミングなど、1つの場所で多くの体験ができ、それぞれのアクセスが良い『キャンパス型』を取り入れた。大規模なIR施設でMICE参加者同士がつながる環境を提供することで、MICEの魅力は最大になる」(同)という。

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