「人生100歳」 長野、松本両市が「75歳以上」を高齢者にと提言

 「人生100歳時代」といわれる中、長野、松本両市は21日、社会保障制度などで65歳以上とされている高齢者の年齢について、75歳以上に引き上げるべきだとする共同提言を発表した。制度上の年齢変更は求めないとしており、高齢者の健康づくりを促し、社会参加を活発化させる狙いがある。両市は今後、県内市町村の賛同が得られれば、県に対し変更を要請する考えだ。

 長野市の加藤久雄市長と松本市の菅谷昭市長は、両市役所で個別に記者会見し、年齢変更の理由について「年齢にかかわらず、活躍することができる社会の実現を目指したい」などと語った。

 加藤氏は「『もう年寄りだから』などというマイナスな感情を変えてもらいたい」と強調。菅谷氏も「元気に活躍している65歳以上の方がたくさんおり、これまでの定義には違和感がある」などと語った。

 提言によると、日本人の平均寿命は延び続け、約60年前と比べると15歳以上延びており、現在は男女とも80歳を超えているという。特に、長野は全国トップクラスの長寿県として知られる。ただ、提言は、高齢者の健康増進を推進するスローガンと位置づけるといい、社会保障制度の運営などに反映することはないという。

 このため長野市は今後、提言を踏まえ、65歳以上の人の就労支援に注力するなど、制度変更を伴わない高齢者対策を拡充させる方針だ。松本市と連携し、県内の各市町村に賛同を呼びかける活動にも取り組む。

 高齢者の年齢定義をめぐっては、日本老年学会・日本老年医学会が昨年1月、高齢者を75歳以上とし、65歳~74歳は「准高齢者」とする提言をしている。

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