扇千景さん「新たな挑戦が生きる糧に」
習慣で健康維持
健康維持のために習慣にしていることがあります。1日1万歩のウオーキングです。
国会議員をしていたときに、医師の勧めで万歩計を付けてみたら、1日2千歩しか歩いていなかったんです。それで帰宅後の夜、歩くことにしました。
昼間に2千歩を歩いているとして残り8千歩。時間にして1時間20分を毎日です。建設相や国土交通相のときは、国会審議などに関して各部局の担当者から受けた説明内容を録音しておいたのを、聞きながら歩きました。しっかりと頭の中に入るんですよ。それで、家の中に入ったら家族とは政治の話はしない。人生、大事なのは「切り替え」と「割り切り」です。嫌なことがあっても翌日には忘れちゃうんですよ。
政界引退後は主人も一緒に歩くようになりました。公演で地方に行くときも、旅行のときも必ず2人で一緒に歩いています。おかげさまで、2人とも足腰に痛いところはありません。だから主人も元気に舞台に立ち、口上ができるんだと思います。
趣味見つけ楽しむ
老後の人生を元気に、豊かに過ごす上で大事なことは、体を動かすことと、外に出かけていくことだと思います。
友人が70代でご主人を亡くし、2年ほど自宅にこもってしまったことがありました。芝居や食事に誘って、とにかく外に連れ出しましたが、マージャン教室をきっかけに元気になったんです。「あなた、マージャンできます?」って自分から誘うようになり、お友達もたくさんできたそうです。「頭も手も使うし、何よりの生きがいよ」って喜んでますよ。
趣味は持った方がいいですね。私は引退後、パソコンを買って楽しもうと思っていたらのめり込みすぎて、主人に取り上げられてしまいましたけれど。何でもやり出したら止まらないんです。
宝●(=塚のノ二本に「、」を重ねる)歌劇団から女優、ワイドショーの司会者、そして、国会議員とさまざまなことに挑戦してきました。当時の福田赳夫首相に参院選出馬を要請され、政界入りしましたが、人から勧められて挑戦するチャンスにめぐり会うことも多かったです。何人分も挑戦させていただいて、それが私の生きる糧にもなってきた。何でも楽しんじゃうんですよ。
今は2人の息子夫婦と計9人で、三世帯住宅で暮らしています。それぞれの世帯の色を作っていってくれたらうれしいし、それが楽しみ。今、一番、気になっているのは27歳になる孫の中村壱太郎(歌舞伎役者)のこと。早く結婚してほしいですね。(長嶋雅子)
おおぎ・ちかげ 昭和8年5月10日、神戸市生まれ。29年、宝塚歌劇団で女優デビュー。33年に歌舞伎俳優、二代目中村扇雀(現・四代目坂田藤十郎、人間国宝)と結婚。フジテレビのワイドショー「3時のあなた」の司会で人気を集め、52年に参院初当選を果たした。建設相、国土交通相などを経て、平成16年に女性初の参院議長に就任。19年7月、5期務めた参院議員を引退した。22年に桐花大綬章。現在、靖国神社崇敬奉賛会会長。四代目中村鴈治郎は長男、三代目中村扇雀は次男
100歳時代プロジェクト 100歳まで生きることが当たり前となる時代に備え、個人の意識や行動、社会構造の変革を促すことを目的に発足した。100歳時代を生き抜く知恵や備え、社会課題の解決策などについて議論し提言や指針として発信する「100歳時代プロジェクト会議」を設置。会議は、(1)健康長寿社会実現を目指すヘルスケア委員会(2)人生100年を生き抜くお金、仕事、生きがいなどを示すライフプラン委員会(3)超高齢社会を支えるイノベーションや社会インフラなどを議論する安心・安全社会委員会-の3つで構成する。