「未病」の改善で健康寿命延す 関連産業育成も 

 健康寿命を延ばすうえで、病気になる一歩手前の状態である「未病」が注目されている。発病前に対処することで病気を予防しようという考え方だ。神奈川県では黒岩祐治知事が「超高齢社会を乗り越えるキーワード」と位置づけ、未病改善に力を入れている。

 県民が手軽に健康チェックやアドバイスを受けることができる「未病センター」を27カ所(平成29年11月末現在)に開設。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が開発した認知症予防の体操「コグニサイズ」の普及や、知識の普及・啓発を担う未病サポーター養成など、賛同する企業・団体とさまざまな取り組みを行っている。

 また、関連産業を育成し経済の活性化を図ることを目的に、「未病産業研究会」を組織し約500社が参加しているほか、未病や先端医療分野のベンチャー企業に出資する10億円規模のファンドも立ち上げた。

 さらに、戦略拠点として県西部の大井町に約60ヘクタールを誇る「BIOTOPIA(ビオトピア)」の建設にも着手し、2021年度以降の全面オープンを目指している。「健康創出型テーマパーク」で、里山体験などの「遊び」▽薬膳カフェといった「食」▽健康関連ベンチャー育成ラボなどの「学」-という3つのテーマを中心に展開するという。

 世界保健機関(WHO)とも連携し、県が蓄積した臨床データを活用した「未病」の国際指標化を目指しており、未病関連の研究機関の誘致にもつなげたい考えだ。黒岩知事は「未病改善の必要性を浸透させるためにも指標化は大きなステップだ」と強調している。

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