健康長寿に「温泉」を 正しい入浴習慣を伝授

 西洋医学と“混浴”

 こうしたあらゆる温泉に共通する効能に加え、多様な泉質による使い分けができるのも温泉大国日本の長所だと一石教授は語る。

 例えば高齢者に多い高血圧や動脈硬化の予防には、硫酸温泉の一種である「正苦味(せいくみ)泉」が良いとされる。シュワシュワと泡が出る二酸化炭素泉(炭酸泉)は、水中に溶けた二酸化炭素による血管拡張効果で冷え性に特に良い。

 有名な「草津温泉」や「玉川温泉」は世界的にも珍しい酸性泉で、強い殺菌効果を持つ。ラジウムやラドンなどの放射性物質を含む放射能泉は、体の免疫力を上げるとされる。

 一石教授は「温泉資源に恵まれた国にいながら、日本人は宝の山を生かしていない」と嘆く。温泉を医療に取り入れる「湯治」は日本の伝統。「西洋医学に日本の湯治文化を取り入れることが、健康寿命を延ばすことにつながる」と西洋医学と湯治の“混浴”効果を強調した。

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